主人公になった気分が味わえるFPSは面白いが、しかし

少し前までYouTubeでゲームプレイ実況動画を見るのにはまっていました。「バイオハザード7」のゲームプレイ実況動画です。ゲームの「バイオハザード」シリーズは、これまで1作品しかやったことがありませんでした(PS2のすごくマイナーなやつ)。追いかけられるゲームは苦手なので、避けていたんですね。

しかし、「バイオハザード7」は店頭の怖そうなビジュアルに惹かれ、怖いもの見たさでYouTubeのゲームプレイ実況動画を覗き見していたところハマりました。先が見えないストーリーが面白く、しかも怖い。私は弟者さんという方のゲームプレイ実況動画を見ていたのですが、これまた実況がお上手で。一緒におっかなびっくりゲームをしている感覚が味わえて楽しめました。

「バイオハザード7」のような主人公の視点でプレイできるゲームをFPS(ファーストパーソンシューター)というそうです。一人称視点。これは結構迫力があります。「バイオハザード7」みたいなホラーゲームは恐怖感が倍増され、なかなか魅力的なゲームジャンルだと感じました。

そんなFPSが映画になったとな!これは見に行かねば!ということで、見てきたのが「ハードコア」です。ティム・ロス出てるし!とワクワクドキドキで観に行きました。

映画とは何か?を問いかけてきた映像

結論から言うと、「ハードコア」は私には向いてなかったです。 Youtubeのゲームプレイ実況動画ではあんなにFPSを楽しめていたのに!と思ったのですが、あれはゲームだったからだと後で気づきました。

まず前提として、車酔いをすぐしてしまう私は、開始30分で酔ってしまったんですね。主人公もう首振って頷かなくていいよと心の中でツッコミを入れ、人間の目って手ぶれ補正本当にすごいなと人体の神秘に感嘆する始末です。

でも、私が酔って気持ち悪くなってようがそれはどうでもいいんです。肝心なのは、自分には向いていなかったなぁと感じてしまった、映画としての感想です。

やはりFPSは迫力があります。「ハードコア」はまさに未知の映像体験をさせてくれました。飛行機やらビルやら高いところから落ちそうなあのハラハラゾクゾク感は普通の映画では味わえません。主人公視点の映像だからこそです。そういった意味では、映像作品として価値があるし、十分に楽しめると思います。ザッツ・エンターテイメント。

がしかし、「映画って何だろう?」と考えさせられる映像でもありました。映画の醍醐味を何と考えるかは人それぞれだと思いますが、私はカメラワークもその一つだと考えています。人の視線だったり、差し込む光だったり、何気ない小道具だったりをあえて撮影することで人の感情を描いていく。そして、その撮り方に監督らしさや製作者の方たちの個性を感じて、すごいなぁと感動したり、楽しませてもらったりしています。

だから、すべて主人公視点FPSの映像でまとめられた「ハードコア」を観たときに、違和感があったんですね。「これは映画じゃなくてゲームだ」と感じてしまったんです。全編FPSでなかったら違和感はなかったと思います。一部主人公視点になる映画はたくさんありますよね。

確かに、迫力やジェットコースターのようなハラハラドキドキ感、スリルを映画の醍醐味だとするならば、全編FPSの映像も映画なのでしょう。しかし、私はストーリーや登場人物の感情がどんなカメラワークで表現されているのかを観るのが好きで、映画の醍醐味だと感じています。だから、私にとって「ハードコア」は映画ではなく、ゲームの延長線上の映像でした。

日本のゲーム愛に溢れるストーリー

「ハードコア」は、映像だけでなくストーリーも割とゲームっぽいんですね。

主人公が目覚めて動き出す、そして戦い方を覚えるチュートリアルのような最初のバトルがある、慣れてきたら指示された場所に行き指示されたアイテムをゲットする、で最後はラスボスという流れです。

そのゲームっぽいストーリーもあって、映画ではなくゲーム感を強く感じてしまったのかもしれません。この監督きっと「メタルギアソリッド」やそれこそ「バイオハザード」のような日本を代表するゲームが好きなんだろうなぁと観ながら思っていました。

世界に影響を与える日本のゲーム文化は本当にすごいです。私はゲームに詳しくはありませんが、Youtubeなどでチラ見するたびに感動を覚えます。

時代が変わり、いつの日か「ハードコア」のような映像も映画として普通になるのかもしれません。もしかしたら、ゲームと映画の境が無くなるのかも。というか、「ハードコア」を映画に感じられていない私は、もうすでに時代についていけていない古い人間なのかもしれません。

でも、まだ私はこのままでいいかな。FPSはゲームやYouTubeの映像で楽しみたいです。

ハードコア(2016年/ロシア・アメリカ)
監督:イリヤ・ナイシュラー
出演:シャールト・コプリー、ダニーラ・コズロフスキー、ヘイリー・ベネット、ティム・ロス他