音楽が素晴らしい、そしてガストンも素晴らしい

2017年は、2016年よりも洋画の大作が多いように感じている今日この頃。もうすぐ「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー2」も公開になりますし。

2017年公開される多くの大作の中でも、私が一番心待ちにしていたのが、実写版「美女と野獣」です。

ディズニーアニメの「美女と野獣」といえば、名作中の名作。アニメ映画史上初めてアカデミー賞作品賞にノミネートされたり、エンターテインメント・ウィークリー誌が発表した恋愛映画の名作に選ばれたり、アニメの枠にとどまらず、一つの映画作品として評価されています。

私はディズニーアニメ作品の中でも「美女と野獣」が一番好きでした。本好きで行動力のあるベルはとても素敵に見え、ベルになりたいなりたいと叶わぬ夢を抱きながら少女時代を過ごしていました。そんな私にとって、「美女と野獣」が実写化されるというのは、まさに大事件でした。

実写化嬉しい!と感じると同時に、少しビビってもいました。

実写化と言われると、期待と同時に不安を感じるのがあるあるです。私のイメージと違ったらどうしようとか自分勝手な不安を抱くわけです。「美女と野獣」は自分が大好きな作品だからこそ、映画が始まる直前までドキドキしていました。

がしかし、そんな憂いは全く必要なかったです。実写版「美女と野獣」はとてもとても美しい映画に仕上がっていました。

というか、観ていて気づきましたが、音楽が素晴らしいとずるいです。

アニメを観て育った人間としては、感動しない要素がありません。映画館でこの音楽をまた聴ける幸せ!私の場合は、あの有名なプロローグが流れた時点で目がうるみ、「朝の風景」が始まると涙がツーっと流れていました(涙もろいだけの可能性もあり)。

ものすごく贅沢なことを言えば、本好きの私としては、「朝の風景」の本屋のシーンとお城の図書館のシーンは、もう少しアニメ版に近づけて欲しかった。特にアニメ版のお城の図書館のシーンが好きなんです。天井まで本棚がぐわぁっと続いていく感じ。覚えていない方はこちらの動画で観れます。

そして、ものすごくものすごくものすごく贅沢なことを言えば、エマ・ワトソンは私のベルのイメージとは少し違っていたんですが、可愛いは正義です。全て許されました。

私の中でイメージぴったり!一番のはまり役だったのは、ルーク・エヴァンスのガストンです。何だろうあのぴったり感。

もちろん、ユアン・マクレガーのルミエールとイアン・マッケランのコグスワース、エマ・トンプソンのポット夫人も職人芸で素晴らしかったんですが、ガストンはピカイチで忘れられない。

音楽にしろ、映像にしろ、キャストにしろ、なんとも贅沢で、そしてエンドロールの最後の最後まで感動する稀有な作品でした。

ディズニープリンセスと女性の生き方

「美女と野獣」のアニメ版が公開されてからもう25年くらい経つでしょうか。時間が経ってもこんなにも多くの人の心を動かす映画を作れるディズニーは本当にすごいと思います。

ただ最近のディズニー作品は、どうしても女性の自立に偏り過ぎているところが気になります。

今回「美女と野獣」の実写版を観て改めて思いましたが、ベルのような昔のディズニー映画のプリンセスたちだって十分に自立して、勇敢な女性です。「アナと雪の女王」みたいに、あからさまに王子様を悪役にしなくとも…と感じてしまいます。

アメリカでは、「リトル・ マーメイド」を始め、過去のディズニープリンセスの作品に対して、「ヒロインが最終的に男性の下で結婚し幸せになるパターンは、女性の生き方を狭める!」という批判もあったそうです。

しかし、ディズニープリンセスは批判を受けるほど男性に幸せを求めていないし、むしろ男性に「NO」を言えるタイプだし、そこまで影響しないでは?と現代を生きる私は考えてしまいます。

でも、このような論争が巻き起こるということは、ディズニーがそれだけ影響力を持っているという証拠なんですよね。

ディズニー作品が影響力を持っていると考えると、「アナと雪の女王」を観て育った子ども達はどのような大人になるのでしょうか。パワーウーマンが増えるのか?もちろん女性が働きやすい社会になるのは大歓迎です。セクハラなんて言語道断だし、女性も男性も平等に家事と仕事がしやすい社会になってほしいと心から願っています。

その一方で、男性と女性の性差別を助長するような不自然なフェミニズムは勘弁しほしいとも感じています。雑誌などの「働く女子」特集を見ると、素敵な働く女子の中に、フェミニズムを勘違いして「私頑張ってます」アピールをしている方がちらほら見受けられます。それを見ると私はどことなくモヤモヤ。

きっとそういう方こそ、性別の壁にぶち当たり、虐げられている部分があるんだろうなと同情に近い気持ちさえ抱きます。「私頑張ってます」アピールじゃなく、違う方法で問題を打開できないものかと考えてしまいます。

女性の生き方の話はこの辺にしといて、「美女と野獣」の話に戻りますが、とにもかくにもノスタルジーを感じられる素晴らしい映画だったということが私は言いたかったのです(結論)。

アニメや漫画の実写化は叩かれることも多いですが、「美女と野獣」のように時を経て実写化すると、原作を観ていない年代の人にも観てもらえるので素敵だと感じます。

「美女と野獣」の実写版は、きっと「アナと雪の女王」や「モアナと伝説の海」しか知らなかった子ども達にも素敵な夢を与えたに違いないです。愛に溢れ行動力のある登場人物たちの姿は胸を打つでしょうし、何より大きな世界を夢見ることや内面の美しさの大切さを教えてくれます。女性の生き方とかではなく、大人になると忘れがちな「綺麗ごと」を教えてくれるのが、おとぎ話の良さです。

次は、「アラジン」の実写化に期待しています。

美女と野獣(2017年/アメリカ)
監督:ビル・コンドン
出演:エマ・ワトソン、ダン・スティーブンス、ケビン・クライン、ルーク・エヴァンス、ジョシュ・ギャッド他