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映像は美しいけれど

観た後久しぶりに胸が痛くなった映画です。

「ラ・ラ・ランド」を観てきました。監督のデイミアン・チャゼルがこの作品で史上最年少のアカデミー賞監督賞を受賞するなど公開前から大盛り上がりでしたね。

この作品を観て真っ先に惹かれたのは、映像の美しさです。色鮮やかでお洒落なミュージックビデオみたいでした。

「ラ・ラ・ランド」は、心ときめく素敵な映画です。もはやそれは間違いない。でも、私は観た後どこか少し寂しい気持ちにもなりました。

というのも、この作品ストーリーは普通なんですね。ライアン・ゴズリングに感情移入して最後「あ〜あ〜」と切なくなるくらいで、特に何かひねりがあるわけではないんです。私はそこが少し寂しかった。

これは好みの問題かもしれません。私は映像や音楽がスタイリッシュな映画も大好きです。でも映画の脚本というか、ストーリーの妙だったり、登場人物たちのセリフだったりが結構好きで。展開や言葉遣いに感動したり、無意味な会話に伏線を見出したりするのが映画の醍醐味だと感じている部分もあります。だから、そういうものがあまり目立たないこの作品が賞レースで評価され、大ヒットしたんだな〜と思うと少し寂しくなりました。

確かに映像は綺麗です。映像の表現力は感動するし、表面的にはとても美しい映画です。夢を持つことの大切さとか、人生の残酷さとか痛いくらい伝わってきます。でもでもでもでも…!映画ってこれでいいの?と感じてしまいました。

ジョン・レジェンドがジョン・レジェンドすぎる件について

そして、この作品でやけに印象に残ってしまったのがジョン・レジェンド

途中で全部持っていきます。

ライアン・ゴズリングとエマ・ストーンの歌も素晴らしいんです。

がしかし、「ジョン・レジェンド本気で歌うなや」と途中心の中でツッコミを入れました。

だって、やっぱり歌うまいし、迫力あります。さすが本業。

一応ミュージシャンの役なんですけど、途中からジョン・レジェンドにしか見えなくなります。本人役だったかなみたいな。でも、彼の歌をスクリーンで聞く価値はあります。

キャストでいうと、やはり一番輝いていたのはエマ・ストーンです。こんなに姿勢よく綺麗に踊れるのかと驚きます。表情がくるくる変わるところも相変わらず可愛い。カラフルなドレス良く似合ってます。

ライアン・ゴズリングももちろん素敵です。相変わらずスーツと車が似合うイケメンだな〜とときめきます。でも、「君に読む物語」よりも「ドライヴ」派な私としては、ちょっと普通のヒーローすぎたかなぁと(贅沢)。もう少し癖のある彼の方が好きです。「ラブ・アゲイン」とか「ラースと、その彼女」とか。イケメンに少しのダメさや気持ち悪さがあると素晴らしい(あくまで個人的な感想です)。

「ラ・ラ・ランド」の感じ方はきっと十人十色

「ラ・ラ・ランド」は、このようにいろいろ語りたくなるし、久しぶりに感情を揺さぶられる映画でした。「映画ってこれでいいの?」という寂しさももちろんそうですが、夢とか自分のやりたいこととかに対する葛藤を思い出させられます。そして、夢にまっすぐ向かっている主人公たちの強さを見ていると、私は少し羨ましさも感じました。

「ラ・ラ・ランド」は、観る人の置かれている境遇や年齢によって感じ方が変わる映画だと思います。とりあえず、私はアラサーという夢と現実にダイレクトに挟まれる時期を生きているので、夢を目指す姿をキラキラと語られると切なさに苦しくなりました。

この作品で描かれるような「あのときああしていれば人生違ってた?」という考えは、誰しもが抱くものだと思います。それでも、この作品の主人公たちのように、過去の選択をした自分や今の自分を肯定して前に進んでいきたいです。

寂しさと切なさと前に進む勇気を色鮮やかに見せてくれる映画でした。

ラ・ラ・ランド(2016年/アメリカ)
監督:デイミアン・チャゼル
出演:ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、ジョン・レジェンド、J・K・シモンズ他