仕事の迷いにこの一冊

会社に属しながら仕事をしていても、会社に属さないで仕事をしていても、ふと「これでよかったのか」とか間違った方向に行っていないか」とか不安になることって誰でもありますよね。

私も「これが本当に私のしたい仕事なのか?」と、よく考えていました。

そんなときに読んでよかったと感じたのが、この本です。

好きなようにしてください―――たった一つの「仕事」の原則

「ストーリーとしての競争戦略」の著者である楠木建先生が、仕事やキャリアに悩む人々のお悩みにバッサバッサと答えていく本です。

大企業とスタートアップどちらで働くべき?

転職すべき?

キャリアプランって本当に必要?

などなど。

基本的に楠木先生の答えは、「好きなようにしてください」です(1つだけ、「好きなようにしないでください」という答えがありました)。

「好きなようにしてください」確かにそりゃそうですよね。

しかし、この言葉って意外に周りの人たちは言ってくれない気がします。家族、親、友人、上司、同僚とか。

「好きなようにしてください」という言葉を読むたびに、自分を正当化する勇気がもらえる気がします。正当化していいのかどうかはまた別問題ですが、とりあえず前に進む勇気はもらえます。

「たった1つの「仕事」の原則」を3つにまとめてみた

この本はタイトルが「好きなようにしてください たった一つの「仕事」の原則」なので、本の要点は「好きなようにしてください」のたった一つでまとめられます。がしかし、この本を紹介する上でそれじゃあちょっと味気ないので、私の中で印象に残ったことを3つにまとめてみました。

好き嫌いの感覚の大切さ

1つ目は、「好き嫌いの感覚の大切さ」です。

好き嫌いの感覚を大切にすることって意外に難しいです。

私は転職を経験していますが、会社を退職するときにはいろいろな人にいろいろなことを言われました。

「今後どんなキャリアプランを描いているのか」

「やりたいことは何か」

「目標を持っておかなきゃいけない」

確かに、ビジネス書や自己啓発書を見れば、このようなことがたくさん書かれていて、当たり前の現象なのかもしれません。

私ももちろんいろいろなことを考えて、退職を決めました。しかし、一番大きかったのは、現状に違和感を感じていたことなんですね。

でもそんなことを正直に言うと、周囲からは「違和感でやめるんかい!」とお説教されることもあり。それじゃダメなのかと思っていましたが、この本を読んで心が少し軽くなりました。

自分の違和感を大切にしていいんだ、「したくないことをしない」ことの積み重ねがキャリアになっていくんだと感じられました。

「やりたいことなんてわからなくて当然だよ」という言葉にもとても励まされたのを覚えています。

仕事は人に何かを与えること

2つ目の「仕事は人に何かを与えること」は、仕事の超原則なんですが、改めて気づかされます。

世の中には、自分のために働いている人が多いですよね。つまり仕事が「趣味」になっている人が多いです。

私の前職でも、自分のこだわりの資料を作りまくり、「どうだ、すごいだろ!」という人がいました。確かにその人の資料は綺麗でした。

しかし、裏では周囲の人がその人のこだわりのために工数を割いていたり、お客様からは「そのこだわりいらない」と言われていたり。

綺麗な資料は素晴らしいです。ただ人に何も与えず、マイナスになっていれば仕事ではなく「趣味」になってしまいます。完全に自分の好みのためだけになっているからです。

この本は、そのような「趣味人」にならないための戒めにもなります。

稼げる人が一番優秀

3つ目の「稼げる人が一番優秀」というのも、当たり前といえば当たり前です。

ただ、「稼げる人」という視点が欠けたままで仕事をしている人も多いのではないかと感じます。毎日の仕事の中で意識するのは難しいかもしれません。

会社には、人事、営業、事務それぞれのスペシャリストがいます。各業務に対して個人が部分最適化されていて、全社的な視点で仕事ができる人が少なくなっている気がします。もちろん全社的な視点を持って仕事をしている方も世の中にたくさんいると思います。

「稼げる人」=全社的な視点で売上、コスト、利益を考え、仕事ができる人です。

「営業は数字を取ってくればいいんだ!」もちろんそうですが、自分の工数のコストと売上、そして利益を考えて仕事をしている人はどのくらいいるでしょうか。

終身雇用が終わりの時代を迎える中、おそらく生き残っていけるのはしっかり利益を考えられる「稼げる人」です。

フリーランスや起業といった道は、何がなんでも稼がなきゃいけないので、この辺の視点を身につけるには、ある意味いい経験なのかもしれません。荒治療ですが。

仕事やキャリアにモヤッとしたら、一読の価値ありの一冊です。