最後に笑うのは?マーティン・スコセッシ監督渾身のリメイク
マーティン・スコセッシ監督の作品はどれも監督の色があって大好きです。この作品は大ヒットした香港映画「インファナルアフェア」のリメイクですが、やはりスコセッシ監督の色に染まっています。
あらすじは、こんな感じです。
マサチューセッツ州警察に、コリン・サリバンとビリー・コスティガンという2人の警察官が勤務しています。コリンはエリートとして特別捜査班(SIU)に配属され、ビリーは潜入捜査官として、犯罪組織のボス、コステロ一味に潜入する任務につきます。でも実は、コリンは闇社会を仕切るコステロの内通者であり、捜査情報をコステロに流していたのです。
一方、ビリーはコステロの組織に潜入し、コステロの情報を警察に流していました。ビリーとコリンは、お互いの存在を知らないまま任務を遂行していきます。
次第に、警察内部とコステロの組織内で、自分たちの情報が漏れているとの疑惑が出ます。それぞれの組織で内通者探しが始まり、ビリーとコリンはお互いを探りあうことになります。警察とコステロ、それぞれの組織内部で激しい駆け引きが繰り広げられます。
ビリー、コリン、コステロ、州警察、FBI。最後に笑うのは?それぞれの思惑と複雑な人間関係が絡み合い、結末に向かいます。
大どんでん返し?の結末を知っているのに、ついつい見てしまう映画の1つです。映画冒頭のジャック・ニコルソンのナレーションに聞き入ってしまい、ついつい気づいたら最後まで見てしまうのです。ジャック・ニコルソン恐るべし。
ロックの名曲が勢ぞろいの劇中歌
ジャック・ニコルソンのナレーションになぜ聞き入ってしまうかというと、抑揚のある絶妙な語り口なんです。そして、なんといってもBGMがローリング・ストーンズの「ギミー・シェルター」なんですよ。かっこよすぎて気づいたら見てます。「ギミー・シェルター」は、ローリング・ストーンズの名盤アルバム「レット・イット・ブリード」に収録された名曲ですね。
マーティン・スコセッシの映画はいつも音楽がかっこいいですよね。「グッドフェローズ」とか特に。「ディパーテッド」の劇中歌も好きです。
以下は、サウンドトラックに収録されているこの映画を彩るロックの数々です。()内は、オリジナルバージョンが収録されているアルバムです。
コンフォタブリー・ナム(ピンク・フロイド「ザ・ウォール」)
セイル・オン、セイラー(ビーチ・ボーイズ「オランダ」)
Carl & The Passions – So Tough / Holland
レット・イット・ルース(ローリング・ストーンズ「メインストリートのならず者」)
スウィート・ドリームス(ロイ・ブキャナン「ロイ・ブキャナン&ザ・スネイクストレッチャーズ」)
Buck & The Snake Stretchers-One of Three Live Regg
ワン・ウェイ・アウト(ザ・オールマン・ブラザース・バンド「イート・ア・ビーチ)
ベイビー・ブルー(バッドフィンガー「ストレート・アップ」)
アイム・シッピング・アップ・トゥ・ボストン(ドロップキック・マーフィーズ「ウォリアーズ・コード」)
ノーバディ・バット・ミー(ヒューマン・ベインズ「ノーバディ・バット・ミー」)
トゥイードル・ディー(ラヴァーン・ベイカー「トゥイードル・ディー」)
アイリッシュマフィアにはやっぱりアイリッシュロックが似合う
サントラに「ギミー・シェルター」は入っていないんですよね。なんとも寂しい。
私は、劇中歌としては、「アイム・シッピング・アップ・トゥ・ボストン」が好きです。コステロのシーンで流れます。
アイルランド系のマフィアだから、やっぱりアイリッシュロックですか!と地味に感動しました。使われる場面もかっこいいし、センス良すぎです。ラブシーンで使われるピンク・フロイドも素敵ですが。
ストーリー的には、オリジナルの映画「インファナルアフェア」の方が救いがあるんですが、そんなのどうでもよくなるくらいかっこよくオシャレな映画です。
そして、この映画のシャレオツなポイントは音楽だけじゃなくタイトルもなんですよ。
「ディパーテッド」を日本語訳すると「死者」。
つまりこれは「死者の映画」。
なぜ死者の映画かは、最後まで見るとわかります。「あっ本当に死者の映画だった」って納得です。
ディパーテッド(2006年/アメリカ)
監督:マーティン・スコセッシ
出演:レオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソン、マーク・ウォルバーグ、マーティン・シーン、ヴェラ・ファーミガ、アレック・ボールドウィン他