医者らしく頭を使って勝つスーパーヒーロー
イギリスの大人気ドラマ「シャーロック」が好きな私にとって、この映画の第一印象は、「おお、シャーロックが手術しとる!」でした。ベネディクト・カンバーバッチは、探偵とか医者とかあんまり笑わずに温度感なく話す役柄が似合いますね。それもこれもシャーロックのイメージが強いからなのですが。
「ドクター・ストレンジ」を映画館で見ました。苦難を乗り越えて、シュールなギャグを挟みつつ、スーパーヒーローになっていくストーリーは大好きです。最後、敵が意外にあっさり倒されるのだけが少し残念ですが、それ以外は展開も早いし、2時間あっという間で楽しめます。2Dで見たのですが、街がくるくる万華鏡のように変わるので、3Dで見たら大迫力で面白かったかもと少し感じました。
マーベルやDCのヒーローは、力やテクノロジーや神の力で勝つ印象がありましたが、このドクター・ストレンジは医者ということもあって頭を使って敵に勝ちます。顔だけの大魔王みたいな人相手に交渉なんてしちゃって、やりますね。もちろん「それ反則!」っていうずるいパワーを持つスーパーヒーローではあるんですけど。
走るマッツといくつになっても可愛いレイチェル
そして、頭使って倒されちゃう敵を演じているのが、マッツ・ミケルセンです。なんかよくわからないけど、普通のおじさんなんですけど(ごめんなさい)、滲み出る妖力にはまってしまう俳優です。マッツ!!!
少しネタバレになってしまいますが、マッツは最後意外にあっさりやられます。先ほども書きましたが、ちょっとそこだけ残念でした。
しかし、この映画はいろんなマッツが観れるため、ファン垂涎です。
呪文を唱えるマッツ、変なポーズで捕まるマッツ、もぐもぐ喋るマッツ、そして何と言っても街を走り回るマッツ!
マッツ・ミケルセンって私はあまり走り回るイメージがなかったんです。椅子に座って不敵な笑みを浮かべているイメージが強くて。「007 カジノ・ロワイヤル」のイメージですかね。それとも「ハンニバル」か。
「ドクター・ストレンジ」では、変形した街の中を縦横無尽にぴょんぴょん走り回るマッツが見られます。「マッツ走れるんだ!」と一人で地味に感動(ごめんなさい)。
ということで、「ドクター・ストレンジ」は、ベネディクト・カンバーバッチといい、マッツ・ミケルセンといい、渋いおじさま俳優好きにはたまらん映画となっております。
でもそれだけじゃないですよ。おじさまたちに花を添えるのが、ヒロイン役のレイチェル・マクアダムスです。この人は何歳になっても可愛いです。「きみに読む物語」のイメージが今でも強いですけど。この映画では、特に「きゃあ!」と驚いて悲鳴をあげるシーンにキュンときました。可愛いアラフォー、憧れます。
失われたものを受け入れて前に進むヒーローは強い
「ドクター・ストレンジ」は、ヒーローもののエンターテイメント作品ですが、テーマとしては重い「時間」を扱っています。時間は巻き戻せない、失われた時間やものをどう受け入れていくか、これは誰にとっても永遠のテーマです。「デッド・プール」もそうですが、病気や事故で何かを失って立ち上がるヒーローは、そこに人間性を感じられるので魅力的にうつります。
最後、失われたものを受け入れ、前に進もうとするドクター・ストレンジがすごく人間らしく見えます。天才外科医だったときは、人間味がないロボットのようで、魔術師になってから人間らしく見えるなんてなんか皮肉っぽいですが、そこがこの作品の妙であり、面白さであると思います。そして、そんなドクター・ストレンジに少し勇気ももらえます。
マーベル作品なので、今後きっとドクター・ストレンジもアベンジャーズや他のヒーロー作品に登場したりするんでしょうね。アイアンマンとドクター・ストレンジの自信家対決はぜひ見てみたいです。ベネディクト・カンバーバッチとロバート・ダウニー・Jr.が同じ画面でヒーロー対決してるのを想像するだけでも面白いです。だってシャーロックが二人!!
2017年もマーベルヒーローの活躍が楽しみになりました。
ドクター・ストレンジ(2016年/アメリカ)
監督;スコット・デリクソン
出演:ベネディクト・カンバーバッチ、レイチェル・マクアダムス、マッツ・ミケルセン他