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うつ病とは

うつ病は気分障害の一つです。人は通常日々の出来事の中で嬉しくなったり、悲しくなったり、気分の移り変わりとともに生きています。しかし、ストレスや不幸な出来事、遺伝、体質などによって、気分のコントロールが効かなくなることがあります。それが、気分障害と呼ばれています。

気分障害には、うつ病の他に気分の高揚と落ち込みを繰り返す躁うつ病などが含まれます。気分障害の中でもうつ病は、抑うつ気分を主症状とし、興味や喜びといった感情の喪失、活動性の減退などを伴います。ポジティブな感情が消え去り、体や心が動かなくなってしまうのです。症状は患者の方それぞれによって違いますが、一般的に以下がよく見られます。

  • 集中力と注意力がなくなる
  • 自己評価が下がる
  • 自信がなくなる
  • 罪悪感を感じる
  • 自分には価値がないと感じる
  • 将来に対して悲観的になる
  • 夜眠れなくなる
  • 食欲がなくなる
  • 希死念慮

うつ病は、単体で発症する場合もあれば、アルコールや薬物の依存症、人格障害、統合失調症などの精神病に伴って発症する場合もあります。

うつ病を描いた映画5選

ここでは、うつ病を題材に取り上げた映画を5つ選びました。それぞれうつ病を引き起こしたと考えられる原因が違うものになっています。依存症や精神病に伴ううつ病は除き、ストレスや不安、もしくは遺伝や体質が原因と考えられるうつ病のみを扱った映画に絞りました。

一時期うつ病を映画で描くことはタブー視されていたこともありましたが、今では数多くの名作映画のテーマとなっています。うつ病は誰もがかかる可能性があります。うつ病に対する偏見をなくし、家庭、職場、学校など社会全体で支えていく環境を作っていくことが大切です。

1.ヴァージン・スーサイズ


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まずは、「家族」とうつが関わる映画です。ソフィア・コッポラの初監督作品で、映像は色鮮やかで柔らかく美しいのですが、扱うテーマは重く、残酷さがより胸に突き刺さります。物語は、5人姉妹の一番下13歳の少女が自殺未遂をするところから始まります。5人の美しい姉妹と彼女たちに憧れをいただく少年たちの交流を描きながら、少女であることの苦悩や家族との葛藤が描かれています。厳格な両親に育てられている少女たちは、自由を奪われ次第に追い詰められていきます。彼女たちが死へと早まる姿は、まさに抑うつ状態へと追い込まれる人間の心理と言えるでしょう。

2.ツレがうつになりまして


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続いては、「仕事」とうつが関わる映画です。実話をもとにしたコミックエッセーが原作の作品です。主人公は売れない漫画家で、サラリーマンとして真面目にバリバリ働いていた主人公の夫「ツレ」が、ある日突然死にたいと言い出し、生活が一変します。うつ病は誰もがなる可能性があるということやうつ病の症状、希死念慮など、実話が元だということもありリアルに描かれています。うつ病は本人だけでなく、支える家族の負担も大きくなります。夫婦でうつになってしまうこともあるくらいです。しかし、この主人公夫婦は、二人で力を合わせて頑張ろうと前向きに闘病生活を続けます。病気について知らなくとも、元気をもらえる作品です。

3.シングルマン


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3つ目は、「親しい人の死」とうつが関わる映画です。世界的なファッションデザイナーであるトム・フォードが監督を始めて務めた作品です。最初から最後まで彼の美学が貫かれており、唯一無二のファッションデザイナーである彼の世界観を思う存分味わうことができます。親しい人の死は、抑うつ気分をもたらす大きな原因となります。この作品の主人公である大学教授も同性の恋人を事故で亡くし、生きる希望を失い、自殺を試みます。喪失感を抱えながら、生きることに向き合う主人公の濃厚な1日を追体験できます。

4.サイド・エフォクト


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4つ目は、「夫婦」とうつが関わる映画です。「オーシャンズ11」で知られるスティーブン・ソダーバーグが監督を務めました。うつ病の映画でもありますが、サスペンスとしての展開を楽しめる作品です。主人公は、夫がインサイダー取引で収監されたのをきっかけにうつ病を再発します。主治医の精神科医が処方した新薬により、彼女の抑うつ気分は改善するのですが、副作用で夢遊病を発症し無意識で人を殺してしまいます。主治医としての責任を問われ、社会的信頼を失った精神科医が真相を明らかにするため、調査を始めるというストーリーです。愛や憎しみによって、人の精神のバランスは簡単に壊れていくのだという怖さを感じられます。

5.リトル・ミス・サンシャイン


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最後は、「失恋」とうつが関わる映画です。「親しい人の死」と同様に、失恋に伴う喪失感も抑うつ気分をもたらします。誰もが喪失感を抱けば落ち込みます。しかし、そこから立ち直れず、うつ病へと迷い込んでしまうと、死へと気持ちが向かってしまいます。この作品の主人公のおじも恋人との別れにより自殺を図ります。それがきっかけで、問題を抱えた個性的な家族と暮らすことになり、彼らと共に再生を果たしていくことになります。小太りでメガネの少女がミスコンを目指すというストーリーで、いろいろ度外視した破茶滅茶な展開ですが、最後には元気と勇気をもらえます。