コーエン兄弟による一筋縄ではいかないクライムコメディ

「モネ・ゲーム」を一言で言うならば、愛すべきしょうもなさが素晴らしい映画です。

主演は「キングスマン」のコリン・ファース、共演は「ハリーポッター」のスネイプ先生でおなじみアラン・リックマン（昨年亡くなってしまったのが大変残念です）。

出演者を見ると、「いいですね〜色気のあるイギリスの俳優さんが出てますね〜渋いですね〜」という感じですが、実際見てみると印象が全然違います。

というのもそもそもまず、脚本がコーエン兄弟ですからね。ハビエル・バルデムの髪型が衝撃的だった傑作「ノーカントリー」を生み出した方々です。そして、忘れてはいけないもう一人のの出演者がキャメロン・ディアスです。ザ・アメリカン・コメディエンヌ。

よく見ると、渋いサスペンスドラマであるはずもなく、一筋縄ではいかないコメディであることがわかります。

でもこの作品、私は好きです。たとえ、見た後頭に残るのは、コリン・ファースのトランクス姿とアラン・リックマンの全裸だったとしても、私は好きです。

これでもかなほどぴったりな配役

ストーリーは、1960年代の傑作コメディ「泥棒貴族」をもとにしているそうです。イギリスの美術鑑定士ハリーが、自分のことをバカにする億万長者の雇い主シャバンダーに復讐すべく、印象派の巨匠モネの贋作詐欺を計画します。ハリーが詐欺計画の相棒に選んだのは、なんとテキサスのカウガールPJ。二人のドタバタ詐欺計画がコミカルに描かれ、そして最後にはおやっという結末が見られます。

ストーリーと出てくるキャラクターを聞いただけで、配役はイメージできますよね。

  • 美術鑑定士ハリー→コリン・ファース
  • 億万長者シャバンダー→アラン・リックマン
  • テキサスのカウガールPJ→キャメロン・ディアス

はい、ぴったり。

特に、天然系カウガールのキャメロン・ディアスがぴったりすぎて、見ているだけで爽快です。もちろん、知的なんだけどやってることがアホくさいコリン・ファースも素敵です。

コリン・ファースが高級ホテルをパンツ一丁（上はスーツ）で探検するシーンなんて最高です。そこでコリン・ファースに絡むホテルマンもナイスキャラすぎて笑い倍増。ドタバタコメディに弱い私は、このシーンでずっと笑いっぱなしでした。

でもラストシーンまで見ると、コリン・ファースのドタバタ…計算？って思えるので、そこもまた楽しいです。そして、ラストシーンでは、コリン・ファースが次のターゲットについて話をします。その次のターゲットは、今話題のまさかのあの方です。これは数年前の作品ですが、今やホワイトハウスの住人となった相手でも詐欺ができるのか、ちょっと気になります。

上司への鬱憤を晴らしたいときにご活用を

この映画のドタバタぶりを見て思い出したのは、ピーター・セラーズの「ピンク・パンサー」でした。これもひたすらドタバタして笑えて楽しい映画でしたが、中学生の頃初めて見て、ピーター・セラーズの職人芸に感動したのを覚えています。

自分は絶対に笑わないけれど、コミカルな動きで観客を笑わせる。人を笑わせるのってすごいですよね。しかも、誰かをバカにしたり、いじったりしているわけでもなく、笑いを生み出すことができるのはすごいと思います。

諸説ありですが、「笑い」はストレス緩和に効果があると言われています。上司や先輩に鬱憤の溜まっている方は、息抜きにでもぜひこの映画を見てみてください。シュールな笑いでストレス発散、そしてコリン・ファースが代わりに華麗なる仕返しをしてくれます。

ただし、上司役のアラン・リックマンが素敵すぎて、見ているうちにだんだん素敵な上司に見えてくることがあります。そうすると、そっちに魅入られてあまりストレス発散できなくなる可能性もあるので、注意が必要です。

モネ・ゲーム（2012年／アメリカ・イギリス）
監督；マイケル・ホフマン
出演：コリン・ファース、キャメロン・ディアス、アラン・リックマン他