最近は、某広告代理店の社員が自殺した事件に関連して、働き方を見直そうという声がしばしば聞かれます。
その流れを後押しするかのように出版されたのがこの本「LIFE SHIFT ライフ・シフト―100年時代の人生戦略」です。
もちろん、この本は長時間労働やハラスメントの問題点を定義しているわけではありません。人間の寿命という観点から働き方を見直そうと問いかけているのです。
著者のリンダ・グラットンによると、100歳近くまで多くの人が生きる時代がもう来ているといいます。しかし、私たちの働き方や生き方は何一つ変わっていない、寿命の認識が甘いと貧しい老後を送る高齢者が増える危険があるとリンダ・グラットンは注意喚起します。
まさしく、日本でも年金問題など、老後の生活費の問題は頻繁に取り上げられます。しかし、若者にとって未来の世界なんて想像がつきません。ましてや老後の自分にどのくらいお金が必要かなんてあまり考えないのではないでしょうか。私も正直、あまり考えたことがありませんでした。
しかし、これまでの祖父母、親世代のような働き方では、90歳まで安心して生きれる分のお金が稼げないという事実をこの本に突きつけられるとかなりショックでした。
副業や投資が話題となっていますが、今までの働き方を見直し、長期的な視点に立って自分のキャリア、生き方を見直す必要が今あるのかもしれません。
「LIFE SHIFT」の本の中にも出てきますが、投資家のピーター・ティールはこう言いました。「空飛ぶ車が生まれるはずだったのに、私たちが手にしたのは140文字だった」と。
このように未来は想像がつきません。今から、キャリアや生き方をプランニングしてもその通りにはいかないことが多いでしょう。
しかし、ある程度想定をしておき、備えておくことは必要です。100歳まで生きる、ならば経験する仕事は1つじゃないかもしれません。
そのためには何が必要か?キャリアを途中で休憩して勉強する時間?教養を重視したリベラルアーツの教育?一貫したアイデンティティの確立?資産運用?
いろいろと考えておくに越したことはないですよね。
明るくもちょっと怖い未来を想像させてくれる一冊です。